福田デンタルクリニックブログ

歯のメンテナンス情報や歯科医療の最新情報をお届けします。

歯周病と体の関係「意外と知られていない歯周病と病気の関係」

現在、歯周病は様々な病気と関係があることがわかってきました。生活習慣病や他の病気に加え、原因が明らかになっていない病気との因果関係も関係していると考えられています。また下図にあるような、生活習慣病を予防したり完治させるのに比べ、歯周病は予防や治療が比較的簡単な病気であることも事実です。簡単な歯のメンテナンスやブラッシングでハイリスクな病を防止することが可能であるとも考えられます。

●脳卒中・認知症
歯周病が原因で、動脈硬化が促進され、脳卒中を誘発する危険性があることがわかっています。脳卒中とは動脈硬化が脳内で発症し、血管が詰まったり、破れたりする恐ろしい病気です。歯周病菌が原因で認知症が起こることが解明されました。(アルツハイマー病)
●ストレス
現在研究中でもありますが、人間がストレスのある環境下で生活をすると、歯周病が悪化するというデータが報告されています。ラットにおける研究では、ストレスを与えたラットの歯周病が明らかに重症化したという報告があります。
●メタボリックシンドローム
脂肪が分泌するサイトカインは動脈硬化を促します。また歯周病菌からもサイトカインと同じ物質が出ているので、糖尿病を悪化させ、さらには、肥満・動脈硬化などの誘因ともされています。
●狭心症・心筋梗塞・心臓病
歯周病は動脈硬化を促進します。最新の研究結果では、特に心臓で発症する動脈硬化、虚血性心疾患を引き起こすことがわかっています。心臓に血液を送る血管を挟め、心筋梗塞や虚血性の心臓病を発症させます。
●肺炎
肺炎は一般的に空気中のウィルスが感染し、発症しますが、口の中の歯周病菌が感染して肺炎になるケースも少なくありません。特に高齢者の唾液中の菌が感染する誤嚥性肺炎が多く、このような患者様の多くから歯周病菌が見つかっています。
●遺伝
近年遺伝子研究は進み、遺伝子的に歯周病にかかりやすい人や、そうでない人がいる原因の究明が進んでいます。全ての遺伝的原因が解明されるには、全遺伝子配列の研究が進むことが期待されています。
●肥満
肥満の方に歯周病が多いという研究データが報告されています。また歯周病菌が肥満を誘引する可能性があるという研究結果も報告されています。
●早産・低体重出産
歯周病菌は胎盤から胎児に感染し、早産や胎児の低体重児出産の原因になると考えられています。歯周病から出る炎症反応物質が子宮の収縮を促進し、早産を起こすと考えられています。また歯周病患者のほうが低体重児出産率が高いデータが出ています。
●動脈硬化
歯周病菌は血管の内側を挟め、動脈硬化を促進すると言われています。
●糖尿病
歯周病は血糖のコントロールを妨げ、糖尿病を悪化させるケースがあります。歯周炎が悪化すると、血液中のインスリンの働きを妨げ、血糖のコントロールが悪化します。
●骨粗鬆症
女性ホルモンの減少により、骨密度が低下し、歯を支える骨が減少するため、歯周病を悪化させると考えられています。

歯周病がアルツハイマー型認知症を起こすメカニズムが解明!

アルツハイマー型認知症は全ての認知症のうち、67%を占める疾患です。その原因はアミロイドβ―タウ蛋白などの異常な蛋白質が脳に蓄積してしまうことで、神経細胞が死んでしまい、脳が委縮するためです。直接的な原因は今まで不明でしたが2019年に歯周病菌の「ジンジバリス菌」(pg菌)が歯肉から血管を通って体内、脳に侵入し、アミロイドβを蓄積させることが解明されました。死亡したアルツハイマー病患者54人の脳の96%からジンジパリス菌(pg菌)が生み出す有毒な酵素が見つかりました。マウスの実験では脳細胞へのアミロイドβの蓄積量は10倍以上に増えていました。
認知症を発症するまではアミロイドβが蓄積し始めて25年くらいかかると言われています。認知症は70歳前後で発症しますから40歳頃からの認知症の予防が大切です。
歯周病は30才台から多く発症することを考えるとできるだけ早く歯周病を治療することが重要です。ただ歯周病をきちんと治せる歯科医院がまだ少ないのが問題です。
歯周病菌は空気を嫌います。歯と歯の間で菌は繁殖するので歯ブラシだけでなく歯間ブラシも1日1回、1か所10回以上通して、マッサージをする事で空気を与え、菌を減らし歯周病を予防しましょう。